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オタな話をします たまに絵が載ります



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今週のクエストにガチ泣きしました\(^0^)/
下の日記に書いておきましたが、ちょっとしたミスで一度書いたこの記事がぶっ飛んでしまいました\(^0^)/
心を動かされたので久々にそれっぽいものを書いてみようと思います。反転して呼んでね。
ちょくちょく出てる、魔法系キッツイ性格のアリスさん視点です。

重ね重ね、折角消える前に見に来てくださった方、拍手まで下さった方、申し訳ありません……
またパチパチしてくださると嬉しいです。とかって、わがままだなあ~!

********


「メイ……?」


あたしは久しぶりに、人前で泣いてる人を見た。
……まあ、『人』であるかどうかはともかくとして、この子が人前で泣いているのを見るのは初めてだと思う。……『子』であるかどうかも一先ず置いておくとして。

人前で泣くなんて、恥ずかしいものね。目は腫れるし、変な声になるし、メイクはボロボロになるし。何より、周りが気を遣ってくることが何だか我慢ならない。裏返したかのように優しくしてくるの。気を遣ってない振りしてるよ、って何気ない言葉かけてくる奴だって結局気を遣ってんのよ。ああいやだ。

それはともかく。この子の泣いている姿は見たことはないけれど、泣いているような、そんな様子なら感じた事がある。ガナン帝国の王の間で、名がダサい? ああ、不謹慎だわね。ガナサダイが最期の一撃で、この子の「おししょーさま」と呼んでいる男が、この子をかばって消えてしまったときだ。うん、男の姿は見えなかったけど、温かい光が螺旋を描いて消えていくのは見えた。その後の道中、他の男連中の話やらああ、うん、そうだねえなどとと聞いてはいたけど心ここにあらず、といった体だった。

その夜はさすがにあたしも眠れなくて、適当なロイヤルルームの階層を行ったり来たりして立派な宿屋のエレベータをフル稼働させていた。あたしもたまにはイタズラ心が疼くのよ。夜の冒険って楽しいじゃない。
さすがにゲスト様々はみんな寝ていたようだけど、どこの階だったかしら、柱の影の、死角にもなっていない死角から、押し殺すような泣き声が聞こえた。泣き声じゃないわね。全ての感情を声にせず息に詰め込みましたみたいな、それを吐き出す音。その音と、死角になってないビジョンのせいで何となくメイだと分かった。

何せ、あの子はいつも大きく口を開けてカラカラと笑っているのだ。
気難しい竜のジジイに乗って信じられないようなところから落とされたり、真正面から『おししょーさま』に斬られたー、なんてカラカラ話してたときはさすがのあたしもそんな状況はイヤだわってぞっとしたけど、別に何でもないことかのように話してた。
ちょっと呆れもしたけど、元天使なんて言ってるのは伊達じゃないのかもね、とその時に思った。


でも、今日は違った。


「神の国に行ってセレシア様に会わなきゃ」ってあたしたちがメイの心の中に仕舞われて――以前から「天使界に戻るー」だの「オムイ様に会いに行くー」だの言ってるときには、どういう仕組なんだか、あたしたち人間はメイの心の中にスッと仕舞われる。
人間ではない生き物らしいもの、よく知らない世界だけど、心の中にいるからか普段へらへらしているメイの気持ちがそのときばかりはダイレクトに伝わってくる。それでも「うんうん」だの「そうじゃないよう」だの単純明快なものばかりなんだけど――スキンヘッドで大きな羽のはえた男を見たときから、メイの鼓動が速くなった。いろんな言葉が言葉になる前にぐちゃぐちゃになって飛び交ってた。彼に近づいて宝石を渡したときなんか、ここ呪われてる水系地図の洞窟の最下層かなんかじゃないのってくらいじっとりとして――ううん、そうじゃない。悲喜こもごも、いろんな感情を雑多に混ぜた何かがぐるぐるあたしを締め付けて苦しかった。「彼の運命がどう変わったかは、あなたの目で確かめなさい」って言われたときは、もう付き合わされてるこっちが限界になった。
なんなのよ、このごちゃごちゃしてるくせに真っ白な世界は。ああ、早くここから出たい。

やっとメイの心の中から出られた、と思ったら、あの子すぐさまルーラしてガナン城に乗り込んでいった。まあ、あの衝撃の場所だからでしょうね。
でも例の現場に辿り着いてもなんにもなかった。いくら「思い出の場所」って言われたからって、どうしてそこに行くのかしら。あの子、いつもへらへら笑ってるけど、結構マイナス思考なんじゃないの?
それから、たまに見せるぼーっとした顔をしばらくして、と思ったらいきなり首がおかしくなるんじゃないかってくらいあげて、突然外に出てまたルーラ。心の中を付き合うのも大変だけど今回ばかりは実際ついていくのも大変だわ。辿り着いたのは、ウォルロ村。あのリッカちゃんとかアホ金髪とかいたところね。そうよ、行動を共にするようになって間もない頃、よく「おししょーさまがねー」なんて言ってたところじゃない。よっぽど混乱してるのかしら。

メイは、普段では考えられないくらいの早さで走って村の奥に向かってた。寄る度にいつも挨拶する入り口に立ってる男が「あれっ、メイ……」と会話することも出来ないくらい。
村の奥、滝の近くにあった元天使の像の前に、あのスキンヘッドがいた。あたしのかしこさで整理してみると、あの世界を滅ぼそうとしたキモなんとか……エルギオスが、愛弟子とその愛弟子が愛する孫弟子のためにせめてもの罪滅ぼしをしたってこと?


「メイ……?」


あたしは確かそう話しかけようとしたはずなんだけど、その言葉を飲み込んでいた。メイは、一点を見つめたまま、ひとすじ、ふたすじと涙を流していた。わずかに、かつてのビジョンような、堪える呼吸が聞こえていた。
「メイ、」とスキンヘッドは温かい声で話し始めたけど、あたしはもう、肩まで震えて「お……っ……おししょ……」とまともに喋れてないこの子のほうが気になって仕方がなかった。

人前で泣くなんて、恥ずかしいって思ってた。目は腫れるし、変な声になるし、メイクはボロボロになるし、周りが……でも、周りなんて気にならないくらいの熱は、今まであたしにはあったんだろうか? せわしなくなったり、自分でも御せない気持ちになったり、誰かを強く想ったり。
ああ、このあたしだもの、恋のひとつやふたつ、男の一人や二人や三人や四人や……確かあったと思うけど、まるで子供のような、簡単な足し算のような、包み隠さない、一点の曇りもないこの子の感情表現はなんなの。

前々から、素直すぎると思ってた。純粋すぎると思ってた。馬鹿な奴らの、お願いともいえないくだらないおねだりをいとも簡単に引き受けて、傷ついてたことだって少なからずあるでしょうに。あたしの方が馬鹿に対して苛立ったりしてたわよ。でもいつもカラカラと笑ってた。それに付き合ってるあたしたちも相当なばかだと思ってた。

メイはもうぺたりと座り込み、手を顔に当てて嗚咽まで漏らしてた。アルベールが目配せして、あたしたちはメイと「おししょーさま」を二人きりにしてあげることにした。あたしもアルベールも、いつもは冗談ばかり言うユージーンも何も言わず、村の手前の方で、遠く連なる山を見ていた。そういえばこの辺は何もないから、もう少ししたら一番星が見え始めるのかしら。

別にあの子に気を遣ったんじゃないの。気を遣われる惨めさを知っているもの。気を遣ったわけじゃない。他の二人も、たぶん。

ただ、そうしてあげたかっただけなのよ。


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